導入事例

約50%のハイリスク者のメンタル・睡眠を、アプリだけで健常状態に改善

2019年4月22日
日本ユニシス株式会社
事業内容
クラウドやアウトソーシングなどのサービスビジネス、コンピュータシステムやネットワークシステムの販売・賃貸、ソフトウェアの開発・販売および各種システムサービス
設立
1958年(昭和33年)3月29日
従業員数
4,190名、グループ:7,817名(2018年3月31日現在)

サービスビジネス、コンピュータシステムやネットワークシステムの展開を通じ、ビジネスエコシステムを創る中核を担ってきた日本ユニシス社。

すでに健康経営に向けて先進的な取り組みを実施されていますが、「従業員の睡眠支援サービス」について調査していたところO:SLEEPにご興味を持たれ、簡易導入されました。

今回は日本ユニシスグループ社員が約7800人いる中で、健康経営についてリーダーとして担務されている橋本課長。ご利用された感想やその効果についてお話を伺いました。

    ■目的:【健康経営の実践】

  • 高ストレス保有者を2021年度までに「20%削減」する。
  • 社内データで判明した、最も悩んでいる人が多い「睡眠問題」を解決したい。
    ■課題

  • 職場環境の改善だけで解決できない高ストレス者の削減。
  • 睡眠に課題のある層(不眠傾向が強い人)が71.7%だが、睡眠は「会社での勤務外の時間における問題」なのでこれまでもアプローチが難しかった
  • 健康経営推進者のリソースが少ないが、なるべく多くの従業員にアプローチしたい
    ■選定理由

  • 特別なデバイスが必要なく、従業員が持っているスマートフォンを活用できる
  • 従業員の睡眠という「営業時間外へのアプローチ」が必要だが、心理的負担が少なく実施できる
    ■効果 ※112名が70日間利用

  • 利用者から睡眠課題層及び13.2%のハイリスク者の抽出
  • 生産性に影響を与える眠気の保有者を調べるエプワース眠気尺度 44%→33%と11%改善
  • メンタル面でのリスク者を調べるK6&ストレスチェックB項目 14.2%→7.7%と改善
  • 睡眠スコア上昇11.4
  • 継続率70% (特に重度に悩む層の改善度合と継続率が顕著)
  • ユーザーの39%が生活習慣改善の自覚
  • ユーザーの83%が健康意識良化
  • ユーザーの満足度中央値60%

※2019年4月16日にインタビューさせていただきました。

【お話を伺った方】
日本ユニシス株式会社
人事部
人事労務管理室担当課長
橋本 和昭様

【インタビュー内容】
※一部掲載にあたっては話題の順序を入れ替えておりますが、表現などそのまま活用しております。

“復職後にワンマンで始めた健康経営と「O:SLEEP」との出会い”

──まず始めに橋本さんの普段の職務内容についてお伺いしても宜しいでしょうか?

(橋本様)
私の職務内容は健康経営の取り組みを推進していくことです。

元々、社内には診療所があり休職者の対応なども充実していたので、一次予防を中心に健康経営の活動を行っております。

──ユニシスさんはそういった領域に対して、日本でも先駆けて注力されているイメ─ジはありましたが、他社さんでそこまで実施されている企業さんは少ないかと思います。
他社より先に進まれている背景について伺ってもよろしいでしょうか。

(橋本様)
特別先に進んでいるわけではないと思います。

2次予防、3次予防に関しては以前から取り組んできた中、時流から「健康経営」というキーワードが誕生しました。
そこで、「じゃあ何をやるか」となったときに、手薄になっている1次予防のところだろうと。

2次予防や3次予防に関しては調子が悪くなってから対応するというスタンスですが、本質的には調子が悪くならないようにすることの方がメリットは大きいので、そういう意味で1次予防を大切にしています。

-これだけの人数を1人で、かつ専任で行うのはやはり大変でしょうか。

(橋本様)
はい。しかし、社内で様々な人に手伝ってもらっているので、そこは大丈夫です。

──お手伝いいただいているのは他の人事の方でしょうか。

(橋本様)
はい、人事もそうですが、地方に関しては地方拠点に在籍する方にお手伝い頂いています。
その拠点における「健康経営担当者」を任命して手伝ってもらっておりますね。

──橋本さんが今の一次予防のお仕事に就かれた経緯についてお聞かせください。

(橋本様)
私は元々、人事の人間ではなく、人事に来てまだ3年の身となります。

元々はSE(システムエンジニア)を十数年担当しており、その後事業企画やサービス企画を担当しておりました。

丁度、3年前に脳梗塞を起こしてしまって、2ヶ月ほど休んだのちに後遺症もなく復帰できたのですが、仕事を変わった方がいいのではないかと勧められたのと、会社として健康経営を推進していくという話がマッチングして、人事に異動してきました。

なので人事の経歴は全くなく、自分が見聞きしたやり方しか分からないみたいな感じです。

──健康経営を積極的に行われている背景がご自身の経験にあることを初めて知りましたが、まだまだ先駆者が少ない中、様々なことを独学で学ばれて、しかも実際に社内でチャレンジされて驚くばかりです。

(橋本様)
手探りですね。なにもわからないもので。
逆に「何もなかったからやりやすかった」というのはあります。

もうすでに企業文化として確立していると、なかなか変えるのは難しいですから。
今は裁量を持たせてもらってやっているので、私としてはやりやすいです。

──この記事を見られる方は人事の方が多いのですが、ユニシスさんが取り組まれているのは先進的で、あまり一般的な人事の方は知らないようなことをやられています。
そのあたりの「取り組むべき施策の情報」は普段どこから入手されているのですか?

(橋本様)
基本的にはネットで探すことが多いです。

-取り組みを選定するときのポイントとしてはどの辺りを気にして見られているのですか。

(橋本様)
元々基本的な知識がないので、健康経営に先進的な企業がどのような取り組みを行っているかを知るために色んなセミナーを聞きに行くことを意識しています。

弊社ではオープンイノベーションの取り組みやベンチャーキャピタル事業にも力を入れています。その過程でO:さんが引っかかったという流れです。

“睡眠に悩む人にとって「O:SLEEP」は使いやすいサービス”


──弊社のサービスについてのご質問に移ります。
睡眠のサービスは他にもあると思うのですが、弊社のサービスへの決め手はどの辺りになりますか。

(橋本様)
1番は「特別な道具がいらない」ことですね。

自社で調査していくと「プレゼンティズム(出勤していながらも、体調不良やメンタルヘルス不調などが原因で従業員のパフォーマンスが低下している状態)」に関わる最大の要因はストレスだとわかりましたが、そのストレスと最も相関が高い健康データが睡眠であると判明しました。

その睡眠にどうアプローチをしようかといったところで、「会社での勤務外の時間における問題」ですので、なかなか解決することが難しい問題でした。

社内で仮眠室を作ることなどはありますが、施設を新しく設置するのは厳しいのでそういう意味でアプリは良いですね。

我々もIT企業なので、そのようなITでのソリューションを上手く使おうと思って探していたところ、特別なモノが必要なかったので利用に踏み切りました。

基本「健康経営」まわりは私1人で回しているので、デバイスなどのモノの管理は難しいんですよね。
個体を管理して配ったり、壊れた際に持ってこられても困ってしまいます。
そういう意味で効果があるのは大前提なのですが、「運用の手間がかからないこと」は大切です。

──今回使用される方は、どのように選定されたのでしょうか。

(橋本様)
社内のイントラから公募しました。
特定層から応募が多かったということはなく、会社の構成比率とあまり変わりませんでしたので、睡眠課題は一般的な問題なのだと改めて思いました。
会社の営業やシステムエンジニアや企画だったりと、職種や年齢を問わず色んな人が集まりましたね。応募人数も多かったです。
以前からわかってはいましたが「睡眠」というキーワードは人が集まるんです。

色んなセミナーを社内で実施する中でも、睡眠セミナーはやはり人が一番集まりますね。
睡眠は困っている人が非常に多いと改めて感じました。

“心理的ストレスよりも身体的ストレスの影響が強いという仮説検証”

──少し順番が前後しましたが、貴社の健康経営の具体的なミッションやKPIについて、ご開示頂ける範囲でお伺いしても宜しいでしょうか。

(橋本様)
社外にも発信している弊社HPのサスティナビリティ情報サイトでは健康経営関連で言うと2016年度から2021年度にかけて、「高ストレス保有者の人数を20%減らす」という目標を掲げています。

──ストレス保有者というのはストレスチェックの結果から算出されているのですか。

(橋本様)
はい。例えば2017年度に932名だった、という数値が出ています。

──そういうのを開示されていらっしゃるのはすごいですよね。そういった社内外を問わない「透明性の確保」が改善の第一歩だと感じます。

(橋本様)
透明化には結構力を入れていますね。
健康経営に関わらず、様々な指標の目標値は開示しています。
具体的には、有給取得率などもですね。

──今、ストレス保有者削減のために力を入れられているのはどういった領域になりますか。

(橋本様)
今まで、一次予防は頑張ってきたんですけれども、なかなか一次予防だけでは難しいので、二次予防にも力を入れていきたいと考えております。

具体的に「どうすれば高ストレス者は減るのか」について考えたときに、本質的には仕事の量を減らすことや職場環境を改善することが上げられます。

ただ、弊社としてあくまで仮説ですが、そのあたりはそんなに悪くないのかなとデータを見て感じますし、それほどストレスフルな会社ではないという風に考えております。

一方で、ストレスとして低いかというと決して低いわけではない。

そういった状況下なので、何が原因かはわからないところがあるのですが、1つは心理的なストレス以外に「身体面のストレス」が高いことが原因であると考えております。

例えば、肩こりや腰痛、睡眠ですね。

その辺りによるストレスが心理的なストレスよりも高い可能性があると分かってきてるので、睡眠と肩こり、腰痛系は今後も力を入れていきたいですね。

“重度の睡眠課題を抱える人にとって「O:SLEEP」は有効”


──振り返って、O:SLEEPを活用して良かった点について、人事観点から伺えますでしょうか。

(橋本様)
良かったことは、参加申し込みする人がとても多かったことがわかったことです。
困っている人が多いってことです。

あと、実際に私自身が使った時に、睡眠不足ではないので正直よくわからなかったというのはあるのですが、解析結果を見せて頂くと、重度の方が多いとわかりました。

そして、重度の方が改善している傾向があったので、やはり困っている人全員は無理かも知れないのですが、一部の人にははまったんだろうなと思います。

──重度というのは睡眠が自分で強く問題があると強く思っている方ですか。

(橋本様)
頂いたデータの中で、K6(※1)やストレスチェックB項目で数値が高い人ですね。

あとは、頂いたレポの中で、アテネ不眠尺度(※2)で不眠傾向が強い人が71.7%いました。これは確かに問題ある人数が多いので、そういう意味で申し込んでくる方が多かった。
いつも社内で対策を実施しても、なかなか使ってもらえなかったり協力してもらえないパターンが多いのですが、「不眠の疑いがある方がこれだけいる」ということがわかっただけでも嬉しいですね。

※1…K6:米国の Kessler らによって、うつ病・不安障害などの精神疾患をスクリ
ーニングすることを目的として開発され、一般住民を対象とした調査で心理的ストレスを含む何らかの精神的な問題の程度を表す指標として広く利用されている。

※2…アテネ不眠尺度:世界保健機関(WHO)が中心になって設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した世界共通の不眠症判定法

──食事や運動など他の健康施策もあると思うのですが、手を挙げている方は課題感が強いからやりたいという方もいると思うのですが、そういうところと睡眠はやはり違うのですか?

(橋本様)
違いますね。

食事は確かにリスク層も多いですが、肥満対策は推進しても、痩せたいという思いより面倒くささが勝ってしまうことが多くて継続率に課題が残ります。

睡眠に関しては、実際に困っているので、治したい意欲がある人が多いかなと感じました。

“実質的な計測開始までの1週間を乗り切るモチベーションが課題”

──ここまで良い話が続きましたが、ここからは逆に弊社サービスに関するネガティブな観点についてお聞かせください。
サービスや運用例で改めて課題だと思うことをいくつか頂けますでしょうか。

(橋本様)

課題としては、全員というわけではないですが「重度でない人」の利用がちょっと少ないのかなと感じました。

アプリをインストールしてもらい、約1週間睡眠状態を測って、そこから本格的にサービススタートなので、その手間に耐えられない人は使わないですよね。

──ありがとうございます。どのくらいの利用率を超えて欲しかったと感じますか。

(橋本様)
4割くらいの人が継続していて、ヘルスケアサービスとしてだと十分だと思うのですが、今回は7割の人がアテネ不眠尺度で不眠と判定されているので、欲を言えば7割に近い人数が使って欲しかったかなと思います。
問題がない人は使わなくても良いんですけどね笑

“手挙げ制に反応しない層へのアプローチ法を模索していきたい”

──最後にユニシスさんや橋本さんがめざす健康経営について教えてください。

(橋本様)
今課題と思っている点として、何かしら取り組みを実施した際に手を挙げる人はいるのですが、手を上げない人に対してどうアプローチをしていくか、ですね。

全体の3割くらいの人は健康に関心があるのですが、残りの人はあまり関心がないというデータが出ています。

「健康マイポータル」という生活改善に向けた健康ポイントプログラムを運営しているのですが、参加している人は3割くらいなんです。

でも、実際にリスクが高いのは「残りの7割」に多いので、その層にどうアプローチをするかです。

そして、これまでの健康診断や保健指導などの施策だけではリーチできない層に対して、O:SLEEPのようなヘルスケアアプリの導入は手段の一つとして考えられます。

つまり病院に行くのは嫌だけど、アプリは使ってみたいという人に対して、アプローチする手段としてありということですね。

その人の状態に応じて、適切なアプリを利用することが出来る環境や、これはアプリではないのですが、カウンセリングや悩み相談への敷居を下げることができないかなど、どうやって多くの人に施策に参加してもらうかを考えております。

──とても難しいですが、他の人事の方もヒントを得られる気がします。

(橋本様)
One to Oneマーケティング(※3)の考え方を健康管理に活用するのもありだと思っていますね。

※3…マスマーケティングという多数をターゲットとする一律のマーケティング手法に対して、提供の仕方やサービスなど、顧客一人ひとりの趣向や属性などを基とした上で、顧客に対して個別にマーケティングを行っていくという方法。

例えば「カウンセリングを受けて、アプリを使った方がいいですよ」とか紹介をするのも大事かと思いますが、最終的な行動は結局本人任せになってしまいます。

健康づくりの参加者を増やすためには、無関心層一人一人の関心ごとや困っている内容に合わせてアプローチする仕組みが必要だと思うんですよね。ECサイトなどのレコメンド機能と同じ考え方です。

そのためにも「健康に関する情報への接点を増やす」機会を会社として増やさないとと実現できないかなとなんとなくは思っています。

──今まさに弊社も、利用率を上げたりとか、危ない人に対しても会社ではなく個別で、我々が提携している産業医やカウンセラーの型が本人の会社には開示しない前提で、面談などを促して、個別介入するというアプローチをかけて行こうと考えています。

(橋本様)
それは良いですね。このアプリでも導入されている「認知行動療法」に関して、良いアドバイスがあったとしても「言葉だけではなかなか行動できない」のが人間かと思います。

例えば、「長時間働くことが慢性化している」「特定の人間との関係性が強いストレスになっている」といった、原因が明確な場合、例えばアプリからカウンセリングに行ったらいかがですか、と促すことができると更に良いサービスになるなと思いますね。

──貴重なご意見をありがとうございました。
今まさにお話いただいたカウンセリング部分について強化している最中です。
ユニシスさんの今後の取組をウォッチさせていただきますね。