【利用者55%の睡眠改善】睡眠良好者ほど仕事の質が高く、不良者ほどメンタル不調になりやすいとデータで実感
【お話を伺った方】
株式会社経営者JP
代表取締役社長・CEO
井上和幸様
エグゼクティブサーチ(幹部採用・転職)などの人材事業の展開だけでなく、様々な事業において日本の経営者、リーダー達が集い、学ぶ場を提供して、日本の経営者層の中核を担ってきた経営者JP。
すでに健康経営に向けて先進的な取り組みを実施されていますが、「組織の睡眠状況の可視化」や「睡眠に関して、個人にカスタマイズされたフィードバックが受けられる」などに興味を持たれ、O:SLEEPを簡易導入されました。
今回は約20名を束ね、健康経営についてリーダーとして担務されている井上社長(CEO)。
そんな井上社長が睡眠に興味を持ちはじめたきっかけやO:SLEEPをご利用された感想やその効果についてお話を伺いました。
目的
- 従業員の健康および睡眠に関するリテラシーの向上
- 組織の睡眠状況の可視化
- 睡眠データを基軸に他のデータと組み合わせて分析(従業員の健康管理や生産性の向上)
- 生産性と睡眠の相関を知ること
課題
- 経営者観点から、従業員の睡眠含め健康状態を複合的に判断できなかった。
- 顕在的に存在するメンタルヘルスリスク者を判断するのが難しかった。
- 睡眠が悪いことは自覚しても、具体的に何が原因でどのように改善するべきかがわからない
選定理由
- 今まで計測できるものがなく興味が湧いた
- 7時間睡眠すればいいなどの一般論ではなく個人にカスタマイズされたフィードバックが取れる
- 日中の眠気が気になり、その原因がわかり、対策が取れる
効果
- 生産性(プレゼンティズム)低下による損失額の可視化
- アプリ利用者率73%
- 継続利用率46%
- 継続利用者のうち、55%のユーザーの睡眠スコア上昇
- 目的でもあった従業員のデータから、生産性やメンタルヘルスリスクと睡眠の相関を確認
【インタビュー内容】
※一部掲載に当たって順序を入れ替えておりますが、表現などそのまま活用しています。
社名の由来は日本の経営者の中心でありたいという思い
──まずはじめに、経営者JPという社名はとても特徴的かつ様々思いも込められている思います。そのあたりについてお聞かせください。
(井上様)
まず、この会社を創業したのが2010年、開業が4月1日、設立したのが2月24日です。
会社の登記日が、たまたまスティーブジョブズ55歳の誕生日に当たりました。
領域こそ違いますが、アップルのようにメッセージ性があってかつシンプルなものが好きなので、いくつか思い浮かべる経営者JPのイメージの一つとして、「イノベーティブな会社でありたい」といった意味合いも込められています。
社名に関しては、かっこいい名前にしたいなと思っていました。
自分自身会社立ち上げの前にリクルートの子会社の立ち上げをして、そこで執行役員をしていました。2009年の9月末で区切りをつけ、2010年の4月に会社を開業しようと思っていたので半年間の準備期間がありました。
その創業準備期間に入るに際し 、
「会社準備のために井上さんの発信が途切れてしまうのは勿体無いんじゃないですか。」
「井上さんの発信を待っている人がいるんじゃないですか。」
と言われ、
自分のプロフィールや、以前より開催していたイベントやトークライブの告知ができることもあって、まずサイトを作りました。
当時教育系で「グロービス.jp」や、編集者が集まるサイトとして、「編集者.jp」があり、では自分たちは経営者が集まる会社を立ち上げようとしているのだから、「経営者.jp 」という名前でサイトを立ち上げました。
そういった経緯から、「日本の経営者たち」という意味もある、経営者JPを社名にしました。
採用の失敗は教育では取り返せないからこそ、妥協なしの採用方法
──今会社全体として何人ぐらいの規模の方がいらっしゃって、最近特に仕事として力を入れられている点についてざっくりで恐縮なんですけれどもお伺いさせていただけますでしょうか。
(井上様)
現在はおおよそは20名弱の社員で、10年目に入ったところなんですが、いわゆるエグゼクティブサーチ(幹部採用・転職)事業が8割方を占めています。
事業の売上比率を見ても大きいですね。
「事業基盤としてまず形作るべきはエグゼクティブサーチ」ということはもともと考えていました。
そして組織化してからは5年あまりが経ちましたね。
ここからは、サービスの面を広げていくためにも採用を頑張ろうとしているところです。
──組織化して5年という話がありました。組織化後の5年で、経営者として組織を改善していくにあたって大切にされていることがもしおありでしたらお伺いしてもよろしいでしょうか。
(井上様)
私たちは、「経営」をサポートする人材系の会社なので、人と組織の側面から会社をサポートさせていただいています。
そのぶん、やっぱり私たち経営者JP自体がちゃんとしたやり方ができていないとと思います。
──たまたま書籍を拝読させていただいたんですけれども、人が辞める時にいっぱい採用に力を入れる会社はよろしくないってような記述があったのが印象的でした。
日本は採用にはお金をかけたり力を入れているいるんですけれども、採用した人をどうしたら楽しく、気持ちよく働いてもらえるかっていうところまで目が向かないのかなと感じますね。
(井上様)
よく言うのは、もちろん教育は大事ですけれども、「採用の失敗は教育では取り返せない」っていうことです。
実際リクルートがそうだったのもありますが。(笑)
今はもちろん超大企業なだけあって教育は洗練されていますが、おそらくリクルートのDNAとしては、教育云々というよりは「リクルートにふさわしい適切な人を、とにかく力や労力をかけて採用する」そして「その人を適切な場に置く」。
採用と場っていうのが大事だと思っていて、結局そういったことが教育につながると思います。
やっぱり基準は妥協できないですし、パワーをかけてお会いして、なんとなくいい人を採用するっていうのは僕はやりません。
その人の特徴含めて結構こだわって採用しています。
どういう人を採るのかっていうことへのこだわりと、その人達がうちでやりがいを持ってもらえなければ、当事者たちにとってよくないですし、会社にとってもよくないじゃないですか。
根源的にはどの会社もこれに尽きると思っています。
エグゼクティブサーチ事業を通しても、新天地にいかれた方が活躍してくれていることや、経営者の方からも、来てくれて助かると言っていただけると一番嬉しいですね。
──まさに他社さんとかはエージェントって言い方されるんですけれども御社はコンサルタントっていう単純に紹介や繋ぐだけじゃなくてその先のところもというところもあるということですよね。
(井上様)
経営陣や幹部の方々とお付き合いすることになるので、公私はちゃんと分けつつも、メンターになってくださっている方や、逆にそういった方がクライアントになってくださることもあります。
例えば転職を支援させて頂いた方が、着任後、重職になられて、引き続きクライアントとしてお付き合いをすることもあります。
同じ方がうちのセミナーなどを通して何かを得てくださって、またそこから展開して別の相談(幹部研修をやってほしいなど)という流れが実際にあるんですよね。
経営者や幹部の方が後にキャリアを伝染していくところとか、幹部採用やマネジメントで困っているときには、僕らがお付き合いさせていただいてるパートナーの方などもご紹介してサポートさせて頂いた話も実際にあります。
実際に体験した壮絶な体験から健康経営について意識し、「O:SLEEP」を導入
──ここからは睡眠の話にスライドしていきます。
いくつか井上社長の本を拝読させていただいて、睡眠について書かれている項目が多いなと思っていて、もともと睡眠についての重要性ってどういう時に感じられたのかといった経緯があればお伺いできますでしょうか。
(井上様)
素直にですね、O:さんほど研究できてないんですけれども、やっぱり経営者って体が資本じゃないですか、そこは大事なのでこの会社を作るときもそのセットアップはありました。
私は平成元年に社会人になったので、10年ずつキャリアを進んでるんですよね。
1990年代からがリクルート、2000年からベンチャーだったりリクルートの子会社の立ち上げに携わっていて、No.2の立場で10年間やっていました。
なので2000年から30代前半でベンチャーの取締役になって、それなりに急成長してたんですけれども、人生で一番不健康だったのがその時期でした。
その時期は新規事業の立ち上げとかで若干編集職みたいなのと事業企画職の合わせ技をやっていました。
若さで徹夜を繰り返し、生産性が落ちていることを実感
以前のところでは、メディア系のビジネスを前提にしていて、もともと別だったクリエイティブと事業企画っていうところを、両方やった方がいいんじゃないかというので両方やっていました。
業務チームなんかは徹夜になったりもするし、開発でIPO準備もしながら少し調達をしてて、億単位の開発採用業務管理システムを独自に作ってそういうの切り売りしながら独自性を出していました。
さらに当時メンバーが若かったので、赤坂見附に行っては23時ぐらいになってから飲んで、会社の近くに社員用にワンルームマンションを確保したりもしていて、そこで寝泊りをしてましたね。
そういった生活を送っていた時に生産性が落ちていたことを後になって実感しましたね。
最初の半年ぐらいはそういった生活もいいと思うけれども、それが半年すぎると、気合は入ってるけど客観的に見ると生産性が落ちてくるっていうことを実感しました。
部下の休職がきっかけで本格的に健康経営を意識するように
極めつけになったのは、ベンチャー在籍時に30前後の女性たちを部長にして、業務管理チームやオペレーションをやってもらっていた時期のことです。
考えてみれば遊び盛りでもある世代の女性が、寝袋を持ち込んで遅くまで働いて、朝家に帰って風呂入ってシャワー浴びて着替えて昼前にオフィスに戻ってくるというのをやっていた子がいたんですね。
そしたらある日、いつものように朝家に帰ったのに午後になっても帰ってこなかったんです。
連絡もなく休む子ではなかったので心配になって同僚の子に家を見に行かせたら、その子が家で倒れてたんです。
小脳梗塞ということで緊急入院して、後遺症もなく治ったのが不幸中の幸いですが、ご両親に連絡してすぐ来てもらって、休職せざるをえないというのが実際に起こりました。
継続できる働き方じゃなきゃ意味がない
もちろん突っ走るのは大事だし、短期的に「今日は頑張ろう」とかはあった方がいいと思うんですけど、そのような生活を続けるのは人間ありえないって思いますね。
それは僕ら自身見ててもあまり健康状態も良くない気もしたし、生産性が落ちているんじゃないかと感じました。
こういった経験をする前は偉そうにリクルート出身者として「世の中の大手企業など、ぶちかましてやれ」と思っていましたし、密度2倍×時間2倍で4倍速で成長と言っていました。(笑)
そういった考え方そのものは未だにあるんですけど、「継続しなきゃ意味がない」というのを一番思ったのが、健康経営を意識した原点です。
リクルートの子会社に入った時、そういった思いもあり、自分の中で働き方のギアチェンジをして、ジムに行き始めてから体調がよくなったと感じています。
──御社は健康意識が高い会社さんというイメージがあるのですが、今までこれやっててよかったとか他社もこういうのやった方がいいんじゃないかとかあったら教えていただけますでしょうか。
(井上様)
正直自分達も使いきれてない部分があるので難しいですが、そういった考え方は大事だし、O:だったりfincさんだったりを会社から提供されてて、自分たちなりにちゃんと使える状態がいいと思います。
ただ、健康管理の仕方っていうのも人それぞれスタイルがあると思いますので、強制することはないと思いますね。
「O:SLEEP」で、睡眠データとパフォーマンス・メンタルに関するデータとの相関性を実感
──まず最初に私がインタビュー受けさせていた時にお話をしてトライアル的に使っていただこうということだったんですけど、その時に実際に使ってみようと思ったポイントってどの辺りか教えていただけますでしょうか。
(井上様)
睡眠改善が会社に取り入れやすい形のものがあればいいなとは以前から思っていました。
当たり前ですけど睡眠を良い形で計測しながら良い状態に持ってくようなサポートツールなのであれば、どなたにも必要だと思います。
──実際使用された方は手あげ制だったということですけれど、その辺りはいかがでしょうか。
(井上様)
そうですね。そういったことは強制するものではないと思ってます。
──手を上げていただいた方に共通することことはあったりしますか。
(社員)
睡眠時間が少ないなと自覚している人人や、生活リズムの中で睡眠を重視している人など、元々睡眠に対しての意識があった人が多い印象がありました。
──実際15名の方が使っていただいて、継続してくださった方が半分ほどですが、その中の6名の睡眠スコアが良くなっているということに対して、どんな印象がありますか。
また、前半の2週間に比べると後半2週間は睡眠スコアが落ちてきているんですけれど、何か印象はありますか。
(井上様)
スコアが良い人は自分の体習慣づくりができる人たちが多いと思いました。
睡眠に対してリズムができているのが、先行してる人たちから見えてくれば他のメンバーも興味を持ちやすいと思いますね。
あとは分析してレポートいただいた部分ですが、睡眠状態が良い人ほどパフォーマンスが高く結果を残している傾向があったり、逆に睡眠に課題がある人ほどメンタル状態があまり良くないことをデータで拝見したときはとても参考になりました。
O:SLEEPの使用によって「睡眠」をより意識するように
──実際にO:SLEEP使ってみてどんな印象でしたか。
(社員)
休みの日と平日の日で生活のバランスが乱れてしまうタイプなので、平日は計測しようという意識があるけれど、休みの日になるとそこもオフモードになってしまって見るのが怖くなった時がありました。(笑)
──実際にプレゼンティズム的に良くなったところや、睡眠のデータは改善してそれに伴って生産性も良くなっている傾向にあったんですけどどんな印象がありますか。
(社員)
使っている側としては、睡眠を測っていること自体がある意味いいプレッシャーになるので、平日はリズムよくしなきゃなという意識がすごく着きました。
寝る時間も起きる時間もずらさないようにしようという意識も着きました。
──全体を見る側としてO:SLEEPにどんな印象を持ちましたか。
実際に健康サービスとかって経営数値が可視化されることがあんまりないと思うんですけど、そういう面で数値が見えてきて印象が変わったこととかありますか。
(井上様)
まだ初期段階なので、この段階で素直に言えるものではないのですが、ちゃんと睡眠をいい形で管理しようっていうメッセージになっている面はいいことだと思います。
現段階だと人によりけりっていう印象が強いですね。
先ほども言ったように「睡眠に関して意識づけされる」っていう点に関しては非常にいいと思います。
──O:SLEEPを使ってみてここもっとこうした方がより使いたくなるとかそういったポイントがあればお教えしていただけますでしょうか。
(社員)
今まで計測した睡眠データをもとにその日の行動予測が朝の段階で分かったらいいなとは思いました。
それがあることによってスイッチが入りやすくなるのではと感じました。
──実際にO:SLEEPを取り組まれてどういったメリットを感じましたか。
(井上様)
使い始めではありますが、これからいろんな意味で浸透していくと思います。
コンサルタントたちはある程度残業はしますが、元々残業奨励はしていないですし、
こういうものを導入することで、会社として、適切にしっかり生産性上げて働き、夜や週末はしっかり休んで、ちゃんと寝る、というような生活リズムを良い状態で保ち続ける意識が、より具体的に上がると思いますし、計測をしていくと毎日の中でそういった意識が、寝る前と起きたときにセットアップされるのが良いと思います。
そしてそれが日常の中に溶け込んでくれることで、社員たちにもずっと良い状態で活躍してほしいと思いますし、社員たちにとっても良いことだと思います。
──ありがとうございました。