不規則な生活をしているメンバーの睡眠を「O:SLEEP(オースリープ)」によってマネジメントする
『バイトル』をはじめとした、アルバイト・派遣・正社員の仕事情報、看護師の人材紹介サイトを運営するディップ株式会社。「O:SLEEP」をご導入いただいた次世代事業準備室の進藤さまに感想や導入効果についてお話を伺いました。
【お話を伺った方】
商品開発本部 次世代事業準備室 / dip AI.Lab
室長
進藤 圭様
目的
- 会社として、メンバーが働きやすい環境を整え、人材ビジネスのNo.1を目指す
- ピープルアナリティクスの観点から、睡眠と生産性の関連性を理解する
- 自由な勤務形態で、生活が乱れがちな傾向にあるメンバーの睡眠を可視化し、日々のマネジメントに活用する
- アナログな方法ではフォローできないチームの健康管理を、デジタルな方法で解決する
- 潜在的なメンタルヘルス不調者を睡眠データから推測し、健全な組織をつくる
課題
- 50人を超えるチームのため、マネージャーが一人ひとりの健康状態や日々の様子をケアできない
- 生活リズムの乱れや睡眠不足で体調を崩し、会社を休む社員が多い
- 会社として健康系のサービスを導入しても、従業員の利用率が低い
効果
- 睡眠に関心があるメンバーが一定数いるという気付き
- 少数ではあるが、利用者の継続率が高く、本導入時にも一定の効果が見込める
- 他のサービスと組み合わせ、複合的な視点から組織分析ができた
“働き方が自由な弊害として生まれた組織課題を、睡眠で解決する”
ー 進藤さんの職務内容について教えてください。
(進藤様)
主に4つありまして、新規事業の開発チームのマネジメント、M&Aや投資、アクセラレーションプログラムの募集、AIやRPAの研究開発と自社運用です。
ー今いらっしゃる部署の人数って何名ぐらいですか?
(進藤様)
社員が10人で、インターンが45人ほどいますので、全体で50人程度ですね。
ー今回「O:SLEEP」を導入した経緯についてお聞きします。
(進藤様)
大きく2つあると思います。
まず1つ目は、睡眠というアプローチで、メンバーの健康管理ができないかということです。
フレックスかつリモート勤務OKという、そもそも生活リズムが崩れやすい勤務形態である上に、基本的にはオタク気質でかなり夜型というわたしのチーム特有の事情があり、健康を害しやすい、睡眠時間が短くなりやすい生活リズムになっていることに課題を感じています。
2つ目は、ブラウザ上に睡眠データを集約・可視化することで、日々のマネジメントに役立てられないかということです。
前提として、それぞれ担当業務や生活リズム、繁忙期が異なりますし、インターンを含めると50人近くいるので、メンバー一人ひとりに目が届かない場合もあります。
アナログな方法では限界があり、デジタルな方法で解決できないかと考えました。
ー繁忙期が違ったり、働き方が自由で生活リズムが乱れやすかったりすると、どういった問題が発生すると思われますか。
(進藤様)
やっぱり、如実に風邪をひきやすくなりますね。
わたしのチームの特徴は風邪ひきやすいこととも言えます。
やはり、生活のリズムが一定ではないということが関係しているのではないかと思いますね。
ー仕事を休む人も結構いるんですか?
(進藤様)
いますよ。
有給は自由に取っていいので、それも関係しているかもしれませんが。
ー有給を取得することは自由ですが、メンバーには健康に働いてほしいと。
(進藤様)
そうですね。
マネージャーとしては、メンバーが健康でいてくれることがベストですよね。
以前、外勤の営業でメンタル不調になる人が少ないという話をO:さんにしたと思うのですが、わたしの組織はその逆です。
チームにはいないですが、メンタルヘルス不調になりやすい生活をしていると言えます。
そこが一番の課題ですね。
“会社として健康系のサービスを整備しても、利用されないという現実”
ー以前、一日一回アンケートを実施して、従業員の声を拾って、従業員の状態が可視化されるサービスを導入していると聞きました。
そちらは、どのような経緯で導入されたのですか。
(進藤様)
ピープルアナリティクスの考え方で、導入に至る考え方は「O:SLEEP」と似たような感じですね。
様々なミッションを抱えている人もいれば、異なる生活リズムで暮らしている人もいて、かつ人数が多くて1on1もできないみたいな状態を、チャットボットを使って、1on1を自動で実施できれば解決できるかなと思い、導入してみました。
ー健康系のサービスの導入に際して、経営層はどのような関わり方ですか。
進藤さまに一任されているのか、こういうようなことをやりなさいと具体的な指示があるのかで言うと、どうでしょうか。
(進藤様)
dip全社の施策として、まず、従業員満足度のサーベイが頂点にあって、その下に3ヶ月に1回1on1をするというワークライフヒアリング、その下に毎月のチームミーティングをするというコミュニケーションの基本構造があります。その他にもいくつかサービスを利用しています。
なので、経営層も課題感をもって、全社として施策を整備していると言えるのではと思います。
ーその他のサービスというのは、メンタルヘルスのハイリスク者向けですか?
(進藤様)
病気の相談を医者にライトにチャットボットでできるというサービスです。
他には、メンタルヘルスのチェックを電話で行えるサービスも利用しています。
そのような受け皿でも抱えきれないほど危険度の高い人には、産業医を紹介するという構造になっています。
ー素晴らしいですね。「O:SLEEP」が入る隙もないですね。
(進藤様)
いまお話したように、仕組み自体はありますが、100%活用することはむずかしいですね。
ーお聞きした構造の中で、日常的な健康支援みたいなサービスはなかったと思うのですが、その観点で「O:SLEEP」に興味を持たれたという経緯はございますか?
(進藤様)
1on1やOKRのツールをいくつか試すなど、いろいろ試行錯誤をしている中で、「O:SLEEP」に出会いました。
“従業員の若さと同質性の高さが、健康な組織の秘訣?”
ー今回「O:SLEEP」を使用していただいた方は、どの部署の方でしたか?
(進藤様)
主に編集部のディレクターですね。
webサイトのディレクターと私のチームのエンジニア、ライター、デザイナー、全社の人事で、少数ですがまず試しに合計5人でやりました。
ー実はdipさんは睡眠データや生産性・メンタルの状態が良好で、弊社から突っ込みどころがあまりなくて。
(進藤様)
あれ、健康じゃんみたいな!笑
ーそうですね。実際、オフィスが楽しそうな感じもありますし、他社の各種数値と比較してもかなり良かったですね。
最近Wantedlyなどでも採用がうまくいかれていることをメディア経由で知っていましたが、その背景を再確認した気がしました。
(進藤様)
従業員の年齢が若いということと、新卒で採用して育成するので、従業員の同質性が高いということが影響していると思います。
そのあたりの結果は、他のサーベイでも表れています。
ー新卒入社で同質性があるから、疲れて大変なときに相談しやすいのでしょうね。
身近に同じ立場の人がいるっていう安心感がある気がします。
(進藤様)
そうですね。
そもそも、カルチャーとか判断軸を共有できる人間を採用しているので、人間関係が課題になりにくい。
ー今回、ディレクターやエンジニアなど、デスクワーク系の方々を「O:SLEEP」の対象とされた理由は、休む人が多い部門だからでしょうか?それとも、事前にサーベイで把握されていたのですか?
(進藤様)
サーベイにも結果として出ていました。
疲れている感、マンネリ感が出やすいのは内勤職で、外勤職は比較的リフレッシュしやすいという傾向がありました。
基本、デスクワーク系の内勤職は疲れを溜め込みやすいですよね。
外勤の営業って、正直結果を出していれば外で休んでいても良いのですが、内勤のデスクワーク系はそれができません。どうしてもオフィスに居なきゃいけない。
“人は毎日寝るので、睡眠は他の健康系サービスよりも従業員の興味や関心が高い?”
ー「O:SLEEP」の導入によって、得られたことやメリットはありましたか?
(進藤様)
健康系のサービスに自発的に登録した人がいたこと自体が意外でしたね。
先ほどお話したとおり、他の健康系のツールの利用率は総じて低いです。
ただ「O:SLEEP」の場合は、まず20人ぐらいに案内して、5人ぐらいが登録しているので、他のサービスと比較してもかなり参加希望者の割合が高かった。
ーその5人の方が継続的に利用してくださっていました。
(進藤様)
そこに関しても、やはり驚きがあります。
そもそも、睡眠に興味があったり、課題感があったりする人は一定数いるのだなという発見です。
ー利用された従業員の方から要望などはありましたか?
(進藤様)
利用し始めるまでのステップが多いと言われました。
“普通にAppStoreで取得するだけではダメなのか”みたいな声もありました。
ーこちら、アプリのアップデートで、改善されております。
(進藤様)
あ、ホントですか。それは良かったです。
それが一つと、もう一つが他のツールとの違いですかね。
様々なサービスがある中で一番の差別化ポイントはなにかという風に人事から言われました。
ー差別化ポイントとしては、睡眠状態の可視化に留まらず、睡眠コーチングでセルフケアができる点と主観的なアンケートでは見えない従業員の本音が見えるという点でしょうか。
ーサービスの金額感としては、おいくらぐらいだと導入されそうですか?
(進藤様)
他のサービスが月額200〜400円ぐらいなので、それらと同等程度であれば可能性はあるかと思いますね。でも、だいたいこういう質問って安めに答えるので真に受けないでください。
既に、少数サンプルでの利用率が高いという結果もありますので、スムーズにいくかと思います。
“シェアできる世界観が若い組織に導入する秘訣ではないか”
ーもし、dipで「O:SLEEP」を使う場合、どのような導入の仕方だと、従業員の皆様が使っているイメージが湧きますか?
(進藤様)
Fitbitの世界観を実現できると使うだろうなと思います。
“俺今日5km走ったぜ”みたいに、自分のストーリーをシェアできる世界観ですね。
やはり、営業組織のボリュームゾーンが24歳〜29歳と若い組織で、彼らが使うのはそういうイメージですね。
ーなるほど、ありがとうございます。たしかにオフィスに居ても活気がありますよね。
“現状の可視化だけではダメ。ユーザーは介入の仕方まで提示することを求めている”
ーアプリ以外のサービス拡充を検討していまして、ご意見いただいてもよろしいですか。
チームのメンバーがどういう状態なのかを、マネージャーが天気予報レベルの簡易さで毎朝把握できて、ちょっと危ない人がいると、声をかけてみたり、その日は責任が重たい仕事を振らないようにしたりするようなアクションにつなげることができたら良いのでは?と他社で聞き、サービスの実装を検討しています。
そのような機能ってどう思いますか?
(進藤様)
あると思います。
弊社もテストのサービスで作っています。
チャットボットで従業員にその日の調子を聞いて、マネージャーに対して、今日はこういう声かけをしましょうと投げかけをするサービスです。
これは、飲食店の店長向けです。
メリットとして、従業員の状態がわかるということと、状態がわかっても声かけとかアクションができない、介入ができないという店長に向けて、介入の仕方まで示唆してあげることでワークするということですね。
ただ一方で従業員から、会社に管理されるようで気持ち悪いって声も聞きますね。
―たしかに、睡眠は非常にセンシティブな情報ですよね。
ただ、“睡眠データを起点として救える人もいるのでは”と弊社は考えていて、メンタルヘルスの不調者を早い段階で推定して、ハイリスク者を産業医につなげるサービスを考えています。
復職支援の一環として、睡眠データから会社に明らかに合わない人には別の会社への転職を促したり、復職できそうな人には人が介入して支援したりなど、アプリだけでなく連携サービスを強化しているところです。
(進藤様)
なるほど、おもしろい取り組みですね。
O:さんのサービスは現代人と現代的な企業の課題に向き合っているので、これからの進化を期待しています。
※ページ上の各種情報は2018年12月時点のものです